神経を抜いてはいけません(MTA)

近年、MTAセメント(保険適用外)という材料が出てから、神経を抜く治療は激減しています。
歯の寿命を延ばすためには、神経を残す事が大切です。従来は虫歯除去時に神経が露出してしまうと 神経を取る事が多かったのですが、MTAセメントを使うことで、残せる事が多くなって来ています。今回はMTAを使用して、神経を保存した治療を紹介します。
写真の患者さんは痛みなどの症状は感じてませんでしたが、マイクロスコープと虫歯検知液を用いて、虫歯を取り除くと二箇所で神経が露出しました。ここまで虫歯が深いと、従来は神経を抜くのですが、患者さんの希望でMTA(写真では白い粉に見えるもの)を充填し、硬化の後、セメントで封鎖しました。
その後、三か月経過観察して、神経が生きてるかの検査でも問題が無く、最終的な詰め物を装着しました。今日でMTA処置から一年二か月経ちますが、その後痛みもなく、神経を無事に残す事が出来ました。
ただ、この治療が全ての神経を残せる訳ではありません。このケースみたいに神経からの出血がすぐに止まる場合や、もともと痛みが無い場合には有効であると感じてます。
治療前から痛みがある場合や、MTA治療後に痛みが出てひかない場合は 神経内部まで感染しており、神経を抜かないといけません。
虫歯は小さそうに見えても、内部で深く進んでいる場合が実に多いです。神経を除去すると、痛みのセンサーがなくなるので、歯の寿命を大きく縮めるとされています。神経を残したい方の虫歯治療には、MTAを強くおすすめします。ただし、MTAは1グラム1万数千円と高価な事もあり、どうしても治療費は高くなってしまいます。また、常時ストックしている高松市の歯医者はかなり少ないですし、操作が難しく、十分な治療時間と経験を積んでいる歯医者選びが重要となります。

MTA処置前

MTA処置後